話題となっていた映画 『
闇の子供たち』が、渋谷にレイトショーで帰ってきたので、見に行った。
梁石日(ヤン・スギル)の原作を、ラオス・タイ旅行中に読み、ズドーンと暗い気持ちになったものだった。
何が話題かというと、タイ・カンボジア・ミャンマーあたりの子供たちの幼児売買春や臓器売買を描いた内容が衝撃的だったため、タイ本国あたりでは、上映できなかった、などの話を聞いた気がする。
原作本を読んだ後に映画を見るといつも思うけど、やはり原作の衝撃には勝てない。
幼児虐待の様子や各国のペドファイルの表現があまりにも生々しいので、映画で描くのはかなり難しいと思う。
原作は今から10年前の話になるけれど、バンコクのスクンビットあたりには、多くの売春宿が存在し、その中にはお金と引き換えにつれてこられた、8歳くらいからの女の子男の子が拘束され、一晩30バーツ(150円)とかで客をとらされていたようだ。
この10年間では、見違えるばかりの進歩・開発が進んだバンコクだから、現状はどうなのかわからないけれど。
何気にこの映画のキャストは豪華で、江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩一といった、現在の日本映画を支える面子が顔をそろえる。そのため、日本人が主役となってしまい、アジアの現状というよりもむしろ、アジアの中での日本人的な考え方の映画だったように思う。
原作とは描き方が違っているのは途中から理解していたけれど、原作にはなかったあの最後のどんでん返しは、どのように受け取ったらいいんだろう。
結局みんな同じ過ちを繰り返してしまうということ?
外国人にはしょせん救えないということ?
安く買える子供たちを求めてアジアに集まる先進国のペドファイルたち。
貧しさゆえに幼いわが子を売る親。
幼児虐待を受けていたために自らも人身売買の仲介人となって働く人。
一人の命を奪うことをうすうすわかっていながら、わが子の命を優先させる親。
原作に盛り込まれている内容がわりときっちり映画の中にも描かれていたのだけど、そのせいで内容が薄くなってしまった感もある。
でも2時間半をこえた上映時間はそんなに苦じゃなかった。
映画を見た人は本もよんでいただくことをおすすめしたい。
衝撃映像をみつつも、映画をみたあとは、ちゃっかりタイ料理を食べに行きました。